篠笛とセルフケア

篠笛

私は、一年半前から篠笛を習っています。篠笛は、とても繊細で奥の深い楽器です。演奏する人の心と身体、呼吸の状態、壁の質や天井の高さ、温度や湿度など様々なその場の環境で音質が変わります。

篠笛のお稽古では、まず一番に呼吸法を行います。

鼻から吸い込んで、さらに口から吸い込み横隔膜をキープしながら、長く細く吐く練習をします。私の師匠である宋学史先生は、音を出すことや指使いのまえに、いかにたっぷりと吸い込むことができるかがとても重要だとおっしゃいます。

健康法の一つでもある呼吸法は自力整体教室でも取り入れています。ですから、1分近く吐くことは難しくない私ですが、笛を構えた途端に40秒くらいに短くなります。指をつけたらさらに短くなり、最初の音が自分の思い通りでなかった時などは、20秒ほどで限界が来ます。

つまり、緊張があると深い呼吸ができないということです。呼吸ばかりではありません。首や肩、指、口の周り、そして気持にも力が入っていると音は出ません。いかに脱力できているかどうかが重要になってきます。習い始めのころはなかなか音が出ないので、出そうとして一生懸命になればなるほど力が入ります。お稽古の後は、肩こりや疲労、指には穴を抑えたあとがくっきり。一年ほどで音が出て少し脱力でき、家で練習しているときには今の自分なりに満足できる音が出るようになりました。ところが、お稽古で先生の前に座ると、悲しいくらい吹けなくなってしまいます。自力整体教室や健康講座で、皆さんに脱力の重要性をお伝えしてる私ですが、「指にあとついてませんか」と先生からよく言われたものです。

また、身体のどこかにコリがあったりしても十分な呼吸ができなかったり、音が出なくなったりします。ほどほどに音が出て、簡単な曲が吹けるようになったある日突然、まったく音が出なくなったことがあります。三日後のお稽古で先生に相談すると、「唄口の位置がずれていますよ」と直してくださいました。いつも通りの所作で、「唄口」の位置を確認し、何一つ違わずに吹いているのにどうしてと思いめぐらしていると、「三日前の大きな変革」が頭をよぎりました。

実は、二十代のころから首の右側の奥の筋肉にブロックがあり、左に首を傾けたり首を回すのに痛みや違和感がありました。年を重ねるごとに重症化し、何をしても完治することがなく、首を傾けることさえできなくなっていました。自力整体と出会い、傾けたり回したりできるようにはなっていましたが、完全にブロックを外すところまでは至っていませんでした。何とか外す方法がないものかと、日々取り組んだ結果、ブロックを外すには、伸ばしたり回転させたりすることよりも「ゆるめること」だということにたどり着き、三日前に何十年にもわたるブロックが外せたのです。その途端、篠笛の音が全くでなくなったのです。

篠笛には、吹き始めと吹き終りの所作があります。「唄口」の位置を決めるのは、その所作の腕や肩、くちびるなどの感覚で決めます。私の首のブロックが外れたことで、これまでの感覚では正しい位置に持っていくことができなくなったのです。ほんのわずかなずれで、まったく音が出ないのです。

このことが分かった時の感動と喜び、そして、篠笛の繊細さを実感し、またまた篠笛のとりこになってしまいました。

決して簡単ではない篠笛を続けられるのには、もう一つの理由があります。

実は、お稽古の度に先生の音色に癒されています。音の波動に私の身体中の細胞が反応するのがわかります。多少のコリや疲れはすぐに改善します。一年の最後のお稽古では、お歳暮代わりにと言って先生の師匠である鯉沼廣行先生が作曲・編曲した曲をプレゼントしてくださいます。中でも、宮崎県高千穂峡を歩いた時に上から降りてきたという曲を聴いた時には、部屋中に神々が降臨されているようでした。

呼吸法を一回行っただけでも循環が良くなり、身体がホカホカしてきます。音の波動でもさらに循環が促され汗ばむほどに身体が温まります。音の調子で心の状態も確認することができ、篠笛は、まさにセルフケアメソッドの一つです。

とはいっても、ただただ好きだからなのですが・・・

 

 

Comments

  • はじめまして。2年も前の記事なので、もう、ご覧になっていないかもしれませんね。
    4ヶ月前から、琉球笛をやっています。やっと音がでるようになった、と思ったら、突然でなくなり、昨夜稽古で先生の前で吹いたとき、本当に情けなくて、昨夜は眠れませんでした。けさ、検索してここにたどり着きました。唄口ですね、心当たりがあります。今日、帰ったら、試してみます。試験まであと2ヶ月、申し込みはしたのですが、あがりしょうなので、直前にまた、音がでなくなりそうで、不安でたまりません。笛ではないのですが、試験に落ち続けているので、落ちグセがついているような気がします。でも、笛は大好きなので、なんとか次のステップにあがって、ずっと続けていきたいのです。肩も腕も筋肉痛ですが、なんとか、がんばります。

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